――自身のどこかで聞こえた。

 カチリという音が。静かだが確実に。
 
その音は、制限を無くす音。
 
相手を繊滅出来ぬ時、自動で発現する。
 
普段抑制している力を限界以上に引き出す。身体に大きな負担はかかるが、仕方ない。 

 身体と心が目の前の危険を前に、適正と認識した結果だ。
 
解除なしで超えられぬ脅威。出し惜しみなどするな。全力を以って戦え。
 
解除後の身体の反動は半端ではないが――。
 
死より――大事な仲間を救えなくなるより――ずっと良い。

 ――今まさに音が聞こえた。

 ボクとーー仲間を傷つけた代償、さあ払ってもらうぞ。